グランデュオ品川中延

概念的な歴史の流れを取り入れる

1600年代の江戸時代に遡ると、現在は暗渠となりその姿を失った品川用水の一端が存在していたことがわかります。その存在はかつて堤防が造られていたことから成る地形の高低差から伺うことができ、現在では児童遊園として整備されている遊歩道と計画地の関係を構成している要素になっています。
ここから読み解くことができるのは、先ずはこの高低差の概念的な要素の変化であり、かつて水の流れをコントロールしていたものが、PublicとPrivateをコントロールするものへと時の流れの中で形を変えたということです。

物理的な歴史の流れを取り入れる

また、平面的な関係においても各関係の変容を見ることができます。
かつての用水による水の流れによって見える軸は、現在の人の流れへと変換され、この敷地での動線のきっかけやアプローチのデザインを想起させる手掛かりとして働いていきます。

水を引き込むように

水の流れを誘い込むように敷地の特性から見える軸に人の流れを引き込み、敷地の中で軸に沿って分散させていく。Privateに誘い込まれた各生活の塊は、Publicとの関係を求めて広がり、生活の範囲を広げていきます。

軸に沿ったデザイン

過去から引き継がれた軸をデザインに取り込むことで、新たに建てる建築の存在を周辺に溶け込ませます。児童公園側の人の流れに沿うように杉板型枠と手摺のラインを計画することで、以前から存在していたような佇まいを持ちつつ、この地に新たな流れを生み出します。