COLUMN

2022.11.16 2024.03.22 エリア

不動産小口化商品に関わるリスクについて

不動産小口化商品 リスク

 

投資には、必ず何らかのリスクが伴います。投資のカテゴリーには入らない預貯金にしても、金融機関が破綻した場合の払い出しについては一つの名義につき最大1000万円の元金とその利息までとの上限が定められており、それを超えた分の保証はありません(ペイオフと呼ばれる払い出し制度)。

不動産投資にもリスクが関わってきますし、不動産小口化商品もけっして例外ではありません。

重要なのは、想定されるリスクをまずはきちんと理解すること。そのうえで、自分の許容できるリスクの範囲内で投資を行うことです。

不動産小口化商品として一括りにされていますが、個々の商品ごとにリスクの度合いに変化が見られます。なぜなら、投資対象としている物件や運用期間などが異なるからです。

ここでは、不動産小口化商品に関わってくるリスクについて、個別に詳しく説明しておきましょう。

大別すると、①価格変動リスク、②信用リスク、③法令変更リスク、④流動性リスク、⑤対象不動産の滅失・毀損・劣化リスクおよび環境リスクといった5つのリスクが関係してきます。

価格変動リスクとは?

市場での取引価格の変動に伴い、投資した時点と比べて資産の価値に違いが生じることを意味しているのが価格変動リスクです。不動産市場の相場は変動しており、 不動産小口化商品の投資対象となっている物件の価値(時価)にも影響が及ぶことになります。
所定の運用期間が終了してその物件を売却する際に売却価格が購入価格を下回っていると、その差額分が損失となります。
こうした価格変動リスクは株式などにも想定されるものですが、不動産の場合はかなり傾向が異なってくると言えるでしょう。株式の時価(株価)には、経済情勢や金融政策、個別企業の業績などといった様々な要因が影響を及ぼし、不動産と比べて短期的な値動きも大きくなりがちです。
これに対し、不動産の時価も市況全体の動きが影響を及ぼすものの、立地や建物の状態なども深く関わってくることから、個々の物件ごとに価格変動にはかなりの違いが見られます。一般的に建物は古くなるほどその価値は低下するものですが、もともとの設計やメンテナンスによって、同じ築年数でもかなりの格差が生じるのが実情です。賃貸物件で言えば、建設してから10年以上が経過しても入居者の間で人気の衰えない物件もあれば、新築からわずか数年で空室が目立ち始めるような物件もあるのです。
当然ながら、前者の価値は低下しにくく、逆に後者はより価格変動リスクが高いでしょう。価格変動リスクに留意して不動産小口化商品を選ぶ際には、資産価値が劣化しにくい物件を投資対象としているか否かを注視することが重要だということです。

信用リスクとは?

信用リスクとは、預貯金のような金融商品の利用や投資、融資、その他の商取引などにおいて、取引相手が倒産したり、債務不履行に陥ったりすることで、当初に取り決めていた元金の返還や利息・分配金などの支払いが困難になることを意味しています。不動産小口化商品においても、事業者の経営破綻などに伴う信用リスクが関わってくることになります。
リスクを抑えるためにも、不動産小口化商品を選ぶ際には事業者のこれまでの実績や業績の推移などもきちんと確認しておくことが大切です。事業者が株式市場に上場している企業なら、財務や業績などの開示情報を事前に確認することをお勧めします。

法令変更リスク

法令変更リスクとは、不動産小口化商品に関連する法律や命令の改正がその組成・運営・管理に影響を及ぼすことを意味しています。現状、国は不動産小口化商品の普及を通じて不動産市場の活性化を促進しようとしていますが、将来的にこの方針が見直される可能性は否定できません。
また、税制改正により、不動産小口化商品を購入当初に期待していた法令上の相続・贈与関連のメリットが得られなくなることも考えられます。

流動性リスクとは?

流動性とは、取引の対象となっている資産がいかに換金(現金化)しやすいのかを表す言葉です。
流動性リスクが高い(=流動性が低い)と、換金しようとした際に時間を要することがあるため、実勢より評価が下がることもあり得ます。

対象不動産の滅失・毀損・劣化リスクと環境リスクとは?

残念ながら、どれだけ堅牢な造りの建物であっても、地震や台風、豪雨をはじめとする天災や過失などによる人災によって、滅失・毀損する恐れがあります。あるいは、それらの域に至らなかったとしても、何らかの瑕疵(欠陥や不都合)が生じることが考えられるでしょう。
また、築年から年数が経過するとともに、大なり小なり設備や外壁、内装、構造などの劣化が進んでいきます。ここで挙げたような現象の発生は、すべて不動産としての価値が低下することを意味し、損失に繋がる可能性が考えられます。
天災については、構造的にできるだけ強靱な物件を投資対象としているものを選ぶことや、損害保険に加入することでリスクを軽減することができます。しかしながら、経年劣化に関しては、そもそもの設計や仕様、メンテナンスが少なからず影響してきますから、そういった面に関して妥協を許さない物件に投資している事業者を選ぶことが重要です。
一方、不動産特有のものとして環境リスクにも注意を払っておいたほうがいいでしょう。一般的に不動産は、学校・病院・工場・高速道路・墓地・火葬場・風俗店・パチンコ店・ゲームセンター・宗教施設・暴力団事務所などが近隣に存在していると、その価値が低下しがちです。
なぜなら、騒音や雰囲気、汚染、治安などの問題を懸念し、特に賃貸物件の場合は入居者から敬遠される恐れが生じるからです。前述したような施設がもともと存在していたエリアはもちろん、新たに建設計画が浮上すると近隣の不動産相場に少なからず影響が及ぶ可能性があります。

任意組合型には無限責任リスクもあり

不動産小口化商品を扱う組合のうち、匿名組合は有限責任であるのに対し、任意組合は無限責任です。無限責任とは、出資者の損失が出資額を超えたとしても、損失負担をする義務を各組合員がその持分に応じて有することをいいます。
無限責任の発生原因は、建物に起因するものと思われます。これは、建物の立地・構造・築年数・管理状況等から判断可能ですし、事業者が保険に加入することでリスクを最小限にすることが可能です。

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