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2019.07.05 2024.10.10 不動産投資

不動産投資の法人化ってなに?知っておきたい節税方法

不動産投資は資産形成の有効な手段として注目を集めていますが、個人で行うか法人化するかは大きな決断です。本記事では、不動産投資の法人化について解説し、そのメリットや注意点、さらには法人化するタイミングについてご紹介します。

不動産投資の法人化とは

不動産投資について勉強していると、「法人化」という言葉を見聞きしますよね。そのときに「法人化ってなに?」と疑問に感じた方もいるのではないでしょうか。

不動産投資の法人化とは、株式会社や合同会社といった法人を立ち上げて、個人で行っていた不動産投資を法人として行うようにするということです。高い収益を得ている場合には、法人化することによって節税ができます。

不動産投資は法人化できる

冒頭でもお伝えしたように、不動産投資は法人化できます。起業を考えたことのない方にとっては、法人化というのはあまり自分事として考えたことがないかもしれませんが、法人化することによるメリットは節税以外にもあります。なぜ法人化がよいのか、個人で投資する場合とどう違うのかを考えながら、後述する「法人化する4つのメリット」をお読みください。

法人化する4つのメリット

不動産投資の法人化には大きく4つのメリットがあげられます。

  1. 連帯保証人を立てなくても融資を受けることができる場合がある
  2. 税率が下がる場合がある(節税効果1)
  3. 保険料の控除と経費処理の幅広さ(節税効果2)
  4. 家族を従業員として扱うことができる(節税効果3)

それぞれを少し詳しく見ていきましょう。

メリット1:連帯保証人を立てなくても融資を受けることができる場合がある

例えば新築一棟マンションのような大きな投資用不動産を購入する場合には、ローンで数億円を借り入れることも少なくありません。そうしたときにご家族が「連帯保証人になりたくない」と考えたり、「そもそも投資計画が不安」と感じたりすることもあります。そうしたときに資産管理会社として法人化すれば、実質的に保証人を立てなくても融資を受けることができるのです。

メリット2:税率が下がる場合がある(節税効果1)

所得税は累進課税のため、所得が多くなるほど税率が上がるという仕組みになっています。個人で不動産投資をしている場合には課税所得の対象が、会社からもらう給料と不動産投資による収益を足し合わせたものになります。合算した所得が1,800万円を超えると税率が40%、4,000万円を超えると45%の税率となるのです。一方、法人税は税率が原則23.2%であることから得られる収益額によって節税できる可能性があります。これは大きな違いと言えるでしょう。

メリット3:保険料の控除と経費計上の対象範囲が広い(節税効果2)

個人の場合、生命保険料控除は最大12万円までとなります。一方、法人はこうした制限がありません。従業員の社会保険料や事務所で使う車の自動車保険など、全額あるいはその一部を経費として計上できるのです。利益が黒字となっているのであれば、経費として計上することによって課税対象となる金額を少なくできる可能性があります。

メリット4:家族を従業員として扱うことができる(節税効果3)

家族が会社などに勤めていないのであれば、従業員として扱うことができます。これのどこがよいのかと言うと、従業員として給与を支払うことで、その給料を支出として計上できるというところです。先ほどからご説明しているメリットと同様、課税対象となる金額を少なくできるのです。会社に勤めていない家族は扶養に入っているでしょうから、扶養の範囲内で給料を払うのが節税できるのか、それ以上に支払うほうがよいのかは、個々に判断する必要があります。

上記の4つが法人化するメリットとなります。相続税についても節税したいと考えている方は、こちらの「相続対策・資産承継に不動産投資が有効な理由」をご覧ください。

法人化する2つのデメリット

デメリット1:法人化するに当たって費用がかかる

法人化するときには、まず株式会社や合同会社といった法人を立ち上げます。その際に、個人として持っていた資産を、立ち上げた法人に移転するという流れになります。移転するときには、通常の不動産売買と同じように「不動産取得税」と「登記費用」がかかります。ただ、申請をすればよいだけではなく、費用がかかるというデメリットがあるのです。

デメリット2:赤字でも法人税を支払う必要がある

メリットの2つ目でもお伝えしましたが、所得税は累進課税のため、所得が多くなるほど税率が上がるという仕組みになっています。もし収益が高いようなら、法人化すれば個人の場合よりも安い納税額で済みます。しかし、不動産投資で赤字になった場合でも法人住民税に関しては納税する必要があるのです。法人住民税には均等割と法人税割の2つがありますが、そのうち均等割の支払い義務があります。東京都の場合に資本金等の額が1,000万円以下・従業員が50人以下なら年間7万円を納税することになります。1,000万円超~1億円以下・従業員が50人以下なら納税額は年間18万円です。

▼東京都の法人都民税

資本金等の額 特別区内の従業者数 法人住民税 均等割の税額(年額)※1
1千万円以下 50人以下の場合 70,000円
1千万円超〜1億円以下 50人以下の場合 180,000円

※1:「主たる事務所等が所在する特別区(道府県分+特別区分)」の場合
※出典:東京都主税局「都民税均等割の税率表」

このような2つのデメリットがありますので、法人化するかどうかは現在の不動産投資の収支の状況や、投資対象エリアの将来的な収支に影響する家賃相場や人口の増減見通し、不動産投資以外の所得など、様々なことを総合的に考えたうえで判断することが大切です。法人化にはデメリット以上に多くのメリットがありますから、様々な状況を加味したうえで安定して高い収益を得られそうだと思うのであれば、法人化することをおすすめします。

法人化するタイミング

法人化するメリットやデメリットについてはご理解いただけたのではないでしょうか。「メリット・デメリットは分かったけど、どのタイミングで法人化すればよいの?」と疑問に感じている方のために、目安となるタイミングをお伝えします。個人によっても変わってきますが、目安となるタイミングは2つあります。

法人化の検討タイミング・その1

一般的に言われているもので、給与所得と不動産所得を合算した課税所得が900万円を超えたときです。900万円を超えると、所得税の税額が23%から33%に上がります。そうなると、法人税のほうが税率が低くなるため、法人化すれば節税できます。

法人化の検討タイミング・その2

もう1つのタイミングが不動産投資を始めるときです。個人で不動産投資を始めて、途中から法人化する場合には、不動産所得税と登記費用がかかってしまいます。ですから、不動産投資をして課税所得が900万円を超えることが見込まれる場合には、投資を始める際に法人名義で不動産を取得するとよいでしょう。

まとめ

以上、法人化のメリット・デメリット、それから法人化すべきタイミングについてご紹介しました。

不動産投資の法人化は、事業規模の拡大や長期的な資産形成を目指す投資家にとって有効な選択肢となり得ます。ただし、個々の状況によってメリット・デメリットは異なるため、慎重な検討と専門家のアドバイスを受けることが重要です。法人化による節税効果を最大限に活用しつつ、コンプライアンスを遵守した健全な不動産投資が、長期的な成功への鍵となるでしょう。

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